オーストラリアの横断歩道で驚いた話


オーストラリア(クイーンズランド州)に留学していたときの体験です。

留学生活開始後間もなく、同じ寮の友人複数と連れ立って初めてブリスベーンの街に出かけてみた際に、ちょっと意外な発見がありました。

市街地にある横断歩道の付近から奇妙な音が鳴っているのです。

「チュドドド…」というような耳障りな音でした。

一緒にいたオーストラリア人の友人に「この音は何なの?」と聞いてみると、「横断歩道が渡れる時に出る音だ」と言います。

よく観察してみると、横断歩道の信号機がすべて押しボタン式になっている様子です。

「チュドドド…」という音は、ボタンを押して信号が青(正確には緑)になった時に出る誘導音だと分かりました。

この発見は、二つの点で意外でした。

一つは、オーストラリアでは市街地など人通りの多い場所にある横断歩道でも信号が漏れなく押しボタン式になっているらしいことです。

日本でも押しボタン式の信号はよく見かけますが、市街地にはあまりないような印象があります。

信号が押しボタン式になっているのは、あまり人が渡らない街外れの横断歩道が多いのではないでしょうか。

もう一つ意外だったのは、誘導音に愛嬌が感じられないことです。

日本では、押しボタン式の信号のある横断歩道で「通りゃんせ」などのメロディーや、鳥の鳴き声のような人工音を聞いた記憶があります。

いずれにしても、かわいげのある誘導音です。

しかし、オーストラリアの横断歩道の誘導音は無骨です。

実用一点張りといった感じで、工業機械か何かから出る警報音のようにも聞こえます。

気に留まりやすい音をひたすら追求したかのようです。

「チュドドド…」ではあまりに素っ気ないと感じました。

こうした感想を持ったものの、信号の音にはそのうち慣れてしまいました。

留学を終えて帰国した今では、たまにテレビの紀行番組で外国の横断歩道の無骨な誘導音を耳にすると、オーストラリアでの体験を懐かしく思い出します。